新しい精神世界を求めて――ドペシュワルカールの「クリシュナムルティ論」を読む』

稲瀬吉雄[著]

2,415円(税込)

『新しい精神世界を求めて――ドペシュワルカールの「クリシュナムルティ論」を読む

〈気づき〉が切り拓く新しい精神世界の旅へといざなう対話編


 本書は、現役高校教師が足掛け30年に及ぶクリシュナムルティ研究を基に、インドにおけるクリシュナムルティ研究の第一人者であるA・D・ドペシュワルカール教授の英知と洞察に満ちた「クリシュナムルティ論」を徹底的に読み解いた論考である。
 全編を通して、導き手であるドペシュワルカール教授によって明らかにされていくクリシュナムルティの精神世界が、著者の読書体験に基づいた「問いのネットワーク」へと引き寄せられる他の精神世界と共振・共鳴しつつ、われわれの精神を自縄自縛状態から抜け出させ、気づきと瞑想を核とする新たな創造的空間、歓喜に満ちた自由の領域へと導くであろう。
 クリシュナムルティの教えの核心に迫るための〔問い−答え〕の連鎖へと参入することにより、読者は知らず知らずのうちに自らの精神世界への気づきへといざなわれていくであろう。そしてその先には、他者と架橋し、この傷ついた地球上に真の平和を現出させるための導きの糸が見えてくるにちがいない。

人類の未来を〈気づき〉のダイナミズムに託した〈世界教師〉クリシュナムルティの教えの核心に迫る。



《本書の内容》
プロローグ――共に新しい精神世界探求の旅へ

第一章 われわれの精神の働き方の根本的な欠陥
意識と無意識■事実的記憶と心理的記憶■精神の初歩的描像■精神を条件づけること■心理的記憶と知情意■「自己」と心理的記憶■精神の働き方とその問題点■精神の混乱の原因■「自己」の支配

第二章 未解決の問題
精神の間違った使い方による歪んだ、不完全な人生■部分的修正と代替■クリシュナムルティの革命の特徴、および進化と改革をめぐって■理想への視座■手段と目的■問題の回避■欲望をめぐる対立の構図■「自己」の諸問題とその解決

第三章 静かな精神
精神の扱い方をめぐる伝統的修行者とクリシュナムルティとの違い■全的変容と明晰な理解■精神の明晰な洞察力と沈黙への第一歩としての「自己」知■内省と「自己」知■「自己」知の発現としての機敏さ■危機に際しての機敏さの働き■「気づき」の構造ムム「自己」の支配からの解放■問題解決に向けての「探求と発見の旅」■理解するということ■クリシュナムルティに向けられる典型的疑問とは何か■なぜクリシュナムルティの言う「気づき」は有効であるのか

第四章 ハート
静穏で寡黙な精神は死んだ精神ではない■表面的な精神と静かな精神の相違■リアリティについて■行為と活動と意志について■静かな精神の長所が発揮されるいくつかの事例■静かな精神の特質ムムまとめと注意■「ハート」の働き■真善美=リアリティ――まとめ■海図にない海への旅(ドペシュワルカール教授の場合――気づきと瞑想への旅/クリシュナムルティの場合――対話の旅)

エピローグ――わが三十年の歩み:クリシュナムルティと出会ってから(稲瀬吉雄)
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