クリシュナムルティ――その対話的精神のダイナミズム』

稲瀬吉雄[著]

2,100円(税込)

ISBN978-4-434-18324-9 C0011
「グロリアと三人のセラピスト」とともに生きて――娘による追想

混迷の世を生きる現代人一人一人の〈自由なる生〉への扉をひらく、クリシュナムルティからの、〈対話的精神〉という名の贈り物。

主著『クリシュナムルティの瞑想録』(原典:The Only Revolution)の徹底的読解から見えてきた、クリシュナムルティの〈生〉の躍動する姿。語りかけ、語りかけられ、応答するその〈生〉は、この世に住むことの意味の深みへと誘ってやまない。

時代は今、真の対話を求めている

クリシュナムルティのダイナミックな〈対話的精神〉の誕生からその後にかけての発展を辿り、さらには、彼の瞑想観、自然観、存在観を代表する言葉を抽出し、整理分類して提示することを通して、クリシュナムルティの教えとメッセージの全体像を複合的に描き出している。

私がこれから始めるクリシュナムルティとの対話は、……独特の異彩を放っている『クリシュナムルティの瞑想録』の読解を中心に据えて、行ってゆきたい。この本は、インド、カリフォルニア、ヨーロッパでのクリシュナムルティと人々との対話編を軸に、その時々の瞑想録、自然観照が同時にしたためられた形式の本であり、クリシュナムルティの存在を浮かび上がらせる上でキーとなる大切なものを全て含んでいると言っても間違いはなかろう。私には、この本を徹底的に読解してゆくことが、ひいてはクリシュナムルティの生の実相を照射してゆくことにつながるのではないかとの強い思いがあった。クリシュナムルティの人生を、対話人生と捉える見方は一般的であるが、クリシュナムルティが自らの天命を世界中の人々との真剣な対話に求めた真意はどこにあったのか。ここはどうしても避けて通れないクリシュナムルティ理解の分水嶺であるとの思いで、本書ではクリシュナムルティの生とともに発揮し続けられた〈対話的精神〉のダイナミズムと私との真剣な対話の姿を記してゆきたいと思う。この対話が一つの小さなきっかけとなって、日本におけるクリシュナムルティ理解の深化、そして〈対話的精神〉が切り拓いてゆく可能性への気づきにつながることを願いたい。(「プロローグ」より)

《本書の内容》

プロローグ クリシュナムルティとの対話

第一章 クリシュナムルティ――その対話的精神の誕生と世界への歩み

第二章 クリシュナムルティ――その対話的精神のダイナミズム

  一 対話の基本的構造〜上田閑照氏の対話観を導きの糸として〜

  二 クリシュナムルティの対話の構造と力〜自由なる生を求めて〜

第三章 クリシュナムルティ――その対話的精神の顕現と静かな精神の観照

――『クリシュナムルティの瞑想録』を読む――

  一 対話への参入

  二 クリシュナムルティの瞑想観

  三 クリシュナムルティの自然観

  四 クリシュナムルティの存在観

第四章 クリシュナムルティ――その対話的精神の遺産

エピローグ クリシュナムルティからの贈り物

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