コラム〜編集日記〜

第18回


ご無沙汰しております。前回はパトリック・ライス著/畠瀬稔+東口千津子共訳『鋼鉄のシャッター』とニール・フリードマン著/日笠摩子訳『フォーカシングとともに(1)−−体験過程との出会い』の刊行予告をしたところで終わりました。おかげさまでどちらも予定どおり刊行し、続いてJ.クリシュナムルティ著/大野龍一訳『自由と反逆――クリシュナムルティ・トーク集』を2月に、また盛鶴延著『新装版 気功革命』を4月に刊行いたしました。これらについては、新刊案内をご覧いただければと思います。


特に『気功革命』は、以前太田出版さんから出されていたものが事実上絶版状態になっていたため、各方面からの強い要望により新装版として改めて刊行することになったものです。編者としては、ささやかながら国際交流の一助になればと願っております。


ところで、『自由と反逆』はとても好評で、すでに読者からいろいろな感想が寄せられています。これは編者にとっても訳者にとってもとても励みになっています。


例えば、最近、ある読者(奈良のお寺で修行中の若いお坊さん)が次のような感想を書き送ってくれました。


すばらしい。自由と反逆。表紙を見た時、下腹のあたりから閉じ込められていたものがこみ上げてきて歓声をあげたかったが、まわりの状況から押さえ込んだのを憶えています。……反逆者、異を唱える者はまわりからとことん攻撃されるが、自由を得る為にそれは必要な過程であり、人生を生き生きと生きていこうという気持ちが湧いてきました。


また、<アマゾン>には早くも次のような感想が寄せられています。


◆感動的なシンプルなパワフルさ(2004/04/29) レビュアー: リュス(相模原市) クリシュナムルティの1928年と1947年の講話です。クリシュナムルティの力強い言葉によって真理への立ち向かい方、行きかたの背骨を自分の中に打ち立てることを教えます。その言葉のシンプルなパワフルさは感動的です。過去にとらわれていた当時の神智学徒の世界観、勝手な理論、利益誘導的な権威付けを見事に否定しています。 内なる精神の炎をすべての人とともに共有したいという思いがほとばしっています。 1947年の講話はクリシュナムルティの円熟したシンプルさを持って教えが示されている。 訳者解説が不適切なタイミングでかなり概念的な内容が付け加えられているのは残念です。原著にはほとんど解説ということはないにもかかわらずです。これを入れるくらいなら1947年の講話も全訳にしてほしいです。


◆ 生きるための道標として(2004/04/23) レビュアー: M(日本) 現代のストレス社会の中での恐怖や悲しみ、怒りなどで思い悩んでいる人には確かな道標となる本だと思う。それは、耳障りのよい癒しの言葉の羅列でもなく、何処か遠くに行くことでもない。ただ、日常生活の中で試されること、経験において成長していくこと。日常生活をどう生きるかというメッセージが打ち寄せる波のように繰り返される。私は自己の固定化された思考パターンに光が当てられ、自分の中の欺瞞に気づかされた。また、初期のクリシュナムルティのトークに新鮮さを感じた。訳者の解説も親切で大変参考になる本だ。


◆訳者の解説がしっかりしてる(2004/03/28) レビュアー: のりっく(大阪府 ) クリシュナムルティの本はとっつきにくく、何を書いてるのかわけのわからない人もおられると思います。 この本の中で、訳者の大野龍一さんがかなりくだいてクリシュナムルティの解説をしてくれてます。内容もわかりやすく、クリシュナムルティの言いたい要点がある講話を選んでいますので初心者にもとっつきやすいと思います。


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なお、今後の刊行予定は次のとおりです。これからもよろしくお願いいたします。


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向後善之著 『わかるカウンセリング――自己心理学をベースとした統合的カウンセリング』

アメリカのトランスパーソナル心理学の拠点の一つCIISのカウンセリングコースで学んだ最新心理学・臨床心理学に基づいて、コフートの自己心理学、精神分析、トランスパーソナル心理学などについて、レベルは落とさず、しかも極限までわかりやすく説いた入門書です。カウンセリング初心者の方、最新臨床心理学を学びたい方におすすめの本です。 本書には特に、自殺、カルト、薬物使用など、現代の社会病理に関わる諸問題解決への手がかりとなる貴重な情報が多々盛り込まれています。

<本書の内容>

  • 心のダメージとカウンセラーの仕事
  • 心のダメージからの回復 
  • 変容内在化:共感の失敗と自己の成長 
  • 他人を主観的に理解する? (共感のメカニズムと間主観性) 
  • これからの臨床心理学 (臨床心理学理論統合の動きと自己心理学) 
  • 心の防衛機制 
  • 精神的病理のレベル 
  • カウンセリングのプロセス 
  • 初回セッション   
  • アセスメント (バイオサイコソーシャルアプローチの見地から)  
  • 自殺を防ぐ(危機対応について)  
  • メンタルケアの過程―1 (神経症レベル〜ボーダーラインレベルのケア)  
  • メンタルケアの過程―2 (物質依存のメンタルケア)   
  • メンタルケアの過程―3 (精神病レベルのメンタルケア)   
  • メンタルケアの過程―4 (自己成長のためのカウンセリング)   
  • 面談におけるカウンセラーの基本的対応   
  • 面談の技法   
  • 面談の実際   

■著者紹介

向後善之(こうご・よしゆき) 1957年神奈川県生まれ。石油会社にエンジニアとして勤務後、渡米。カリフォルニア統合学研究所(CIIS)でカウンセリング心理学を専攻。カウンセリング心理学修士、工学修士。サンフランシスコ市内のカウンセリングセンターRAMS(Richmond Area Multi-Services)等でカウンセラーを経て、2001年帰国。 現在、帝京平成大学臨床心理学科専任講師、帝京平成短期大学非常勤講師、帝京平成大学・短大・学生相談室カウンセラー。東京両国のニューステップ・カウンセリングオフィス 代表、カウンセラー。東京青山のカウンセリングスタジオ・フレッテ アドバイザー、カウンセラー。日本トランスパーソナル学会常任理事。Journal of Humanistic Psychology (USA)、Self & Society (UK)、日本トランスパーソナル学会学会誌等に論文発表。


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佐藤美知子著 『瞑想から荒行へ』


本書は、瞑想と、滝行・山岳登拝などの荒行によって、心身を鍛えることをめざして結成された「湧気行」の主宰者である著者が、生徒たちとの質疑応答を通じて、瞑想について、人生について自在に語った対話録です。


今なぜ荒行なのか? なぜなら、人類の意識変容を加速させることをめざす著者とその共鳴者たちにとって、荒行はその強力な手段だからです。


<本書の内容>
第一章 瞑想とは、なにか?
瞑想とは、なにか?/二元的思考を超えて/ 人は層になっている/カルマという、意識エネルギー


第二章 心――その、もうひとつの姿
心を観る/まず自分を変える/もう一度振り返り祈りなおしなさい/断つことで、見えること/貪・瞋・痴/あと三ヶ月の生命だったら……/客観視という、心の行


第三章 荒行へ
意識変容がいっきに起きる/神への全託と荒行/生命力の凄さ/その心だけになってお滝にはいる 


第四章 宇宙の一点となる
身をゆだねる、この宇宙の流れに/過去は未来、未来は過去/善悪を超える/生きる方向づけについて/宇宙の一点となる


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ドン・ミゲル・ルイス著/大野龍一訳『知識の声』(仮題)


『四つの約束』『愛の選択』『四つの約束:コンパニオン・ブック』『祈り』に続く、ルイスの最新作。みずからの人生に触れつつ、さらに洗練された形で古代メキシコの「トルテック」の教えを提示しています。


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ニール・フリードマン著/日笠摩子訳『フォーカシングとともに(2)』

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ダヴィッド・キッサーン+シドニー・ブロッホ著/青木聡訳『家族中心グリーフ・セラピー』(仮題)

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デイヴィッド・ブレイジャー著/大澤美枝子+木田満里代共訳『禅セラピー』

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大野純一著編訳『片隅からの自由――クリシュナムルティを読み説く』

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